芹生公男編「現代語古語類語辞典」

Amazonより、芹生公男編「現代語古語類語辞典」届く。
「古語類語辞典」1995年、「現代語から古語を引く辞典」2007年、を経て完成した由。2万1千の見出しで32万4千の類語が引ける。
見出しは五十音順で、類語が時代別(現代、近代、近世、中世、中古、上代)に並んでいる。

類語辞典はジャンルや概念で分類されているものがある。古くは「古事類苑」など。これらは「読む」には良いのだが、「引く」時にアタリをつけるのが難しい。そのため、それぞれ検索に工夫を凝らしているが、それでも「引く」となると煩わしい。引くには何といっても五十音順が便利だ。本書は利用者の利便性を優先し、見出しを五十音配列にしてある。

類語が時代別に並べられているのも特長の一つ。一口に古語といっても、大昔から現代まで使われているものも少なくないが、時代ごとに異なるものも多い。いつ頃まで使われてその後死語となったかはわからないが、初出がいつ頃なのかはわかる。

この辞書は編者の個人編集になるものである。今でこそ語彙の収集、分類、編集はコンピュータの力を借りて、個人による辞書編纂も決して不可能とは言えなくなったが、かつての辞書編纂の労苦は想像を絶するものがある。
借金し、家屋敷、田地田畑売り払い、それで出版できれば良し。矢尽き刀折れ、志し半ばにして斃れ、原稿は散逸、反古となった例は枚挙に遑がないという。
それを考えると「大漢和辞典」の諸橋轍次を筆頭に、「広文典」の物集高見、「字統」「字通」「字源」の白川静など、あれだけのものを個人で編纂したその刻苦勉励には驚嘆の念を禁じ得ない。
 
編者は1995年の「古語類語辞典」出版より30年かけて本辞典を完成させた。最初の「古語類語辞典」は現代語約9500を見出しとし、古語約4万を収録した。本辞典は2万1千の見出しで32万4千の類語である。
最初から完全を目指さず、改訂の最終形態として本辞典を結果させたのは賢明といえる。たとえ道半ばにして斃れても、その労苦は無駄にならない。