J. ウォーレス & D.キース「ハンターキラー潜航せよ」

潜水艦バトルに加え、金融システム乗っ取り、ロシアンマフィア、SEALの大統領救出作戦など、読者をたっぷり楽しませるエンターテインメント。
サブマリン・バトルにおいて、艦長の経験とクレバーさが雌雄を決する余地はなくなりつつあるようだ。探索、探知、音紋解析、攻撃、すべてコンピュータが実行する。現代の潜水艦は攻撃プロセスにおいても破壊力においても、かつてのそれとは比較にならない。
近い将来AIが艦と戦闘を指揮するのかもしれない。AI同士の戦いだ。そうなれば人間が乗り組む必要はなくなるか?
残念ながらそうはならないだろう。戦争はゲームではないし、人間は機械で置き換えられない。人間の命と尊厳を賭けなければ人間は負けを認めない。そして負けて終わるわけでもない。

著者の一人、ウォーレスは元海軍大佐。潜水艦の艦長だった人で、そのためだろう、艦や武器の操作、潜水艦乗りの生態など、描写はリアル。