M.ピカート「騒音とアトム化の世

世界に神を前提している。神なき世界、神を忘れた、あるいは神を否定する人間は無意味ということか。この神はキリスト教の神だが、ご利益神ではなく、沈黙の神だ。このロゴスとしての神が、世界を支え、世界に意味を与えている。

「個々のものを節度のなかに保つべき一つの世界の対抗重量がここには欠けているのである」これは当時(1950年代)の原子物理学に対する記述だが、これを現代の遺伝子技術に当てはめれば分かりやすい。著者が前提している神もこの線で了解できそうだ。