河盛好蔵「河岸の古本屋」

昭和30~40年代の文章集。過半、再読の価値あり。表題作を含む「パリ今昔」は言わばパリ小史にして、三読四読に価す。再読すべき章節に、鉛筆で印をつける。

書き込みや線引きは鉛筆にて。かつて三色ボールペンなるものが流行りおり、試してみるも、再読時に目障り甚だしく、ついには十数冊がゴミとなりたり。ビジネスや試験はともかくも、そもそも再読時の時間の節約などと、ケチ臭き考えを抱きたるが宜しからず。文学は言わずもがな、歴史や哲学、ときには科学書でさえ、文章と中身は不可分一体なり。速読などという言葉に惑うことなく、読むべきものは時間をかけて、何度でも読むべし。

庄野潤三の後書き、宜しからず。